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第2回全体ミーティング(合宿!①)

真夏の暑さが続く2016年8月3日から4日にかけての2日間、那覇市において「スペシャリスト育成プログラム 第2回全体ミーティング」が開催されました! 第2回全体ミーティングは、本年度の活動の本格的なスタートラインとなるもので、メルキュールホテル沖縄那覇を会場として合宿形式で実施されました。

【1日目】■チーム別テーマ表明 開場時間が近づくにつれ、参加者やメンターが続々と集まり始めました。学生を中心とする参加者は、普段、学校に通うときと変わらないいつものスタイルで、またメンターや関係者もいわゆるビジネスカジュアルやかりゆしウエアに身を包み、皆、いい意味で肩の力が抜けている様子です。 会場に全員が集まり、いよいよ第2回全体ミーティングが始まりました。 まず冒頭で、事務局の荒井が全体的なオリエンテーションを行い、続いて、このプログラムの責任者である佃が第2回全体ミーティングの主旨や日程の説明を行いました。 ほぼ24時間をかけて行われるこのミーティングで、各参加チームに課される最も重要なタスクが「テーマの決定」です。各参加チームには、自分たちがこれから半年近い期間をかけ取り組むテーマを、この場で決めることが求められます。そしてそれは、取り組む理由や背景、技術的な独創性や有用性、期待される効果や貢献度などの点から、テーマとしてふさわしいと全てのメンターや他の参加者が納得できるものでなければなりません。 このミーティングではまず、事前のチームミーティングで選定したテーマを、PCのプレゼンテーションソフトを用いて、チーム単位でプレゼンテーションします。持ち時間は15分。そのうち何分をプレゼンテーションに使い、何分を質疑応答やフィードバックに使うかは、各チームに任されます。 プレゼンテーションの後、各参加チームは、メンターや他の参加者がフィードバックした、テーマ内容へのコメント(技術的な助言、疑問点の確認、改善すべき点の指摘、期待感の表明など)やプレゼンテーションへのアドバイス(よりよい資料の作り方、分かりやすい発表の仕方など)を参考にテーマと発表資料をブラッシュアップし、明日の最終プレゼンテーションに挑みます。 ■各チームの発表内容 最初に登壇したのは「九州濃厚ラボラトリ」です。トップバッターのせいか、すこし緊張気味に発表したテーマは「OpenStack間ネットワーク接続の自動化」です。このテーマでは、クラウド基盤であるOpenStackが災害などでダウンしたときに、それとは物理的に離れたOpenStackシステムへ切り替えてシステム機能を維持する、いわゆる耐障害性の高いシステム構築の自動化を目指します。彼らは、その実現にOpenStack環境の自動構築とOpenStack間の自動接続が必要と分析しており、それぞれのための仕組みを開発するということです。メンターからは、単一サイトを対象とするHeatとの違いの確認や、OpenStack自体とその上で動くシステムに一部混同があること、具体的なアプリケーションを設定したほうが検討を進めやすいこと、などの指摘がなされました。 続いて「オープン北陸」がテーマを表明しました。このチームは、社会人として活躍するメンバが、実業務で直面したリアルな問題の解決を目指しています。発表では「OPS端末のOpenStack化」と「検証環境構築」の2つのテーマ候補が示されました。前者は、OPS端末と呼ばれるネットワーク運用端末をOpenStackで仮想化して、設置スペース節約、構成シンプル化、端末故障に起因する業務支障の回避を狙うものです。また後者は、NGN網なども含め、ネットワーク機器、サーバ、自動化マクロなどの検証を行う環境を構築して、研究開発部門へ依頼することなく、担当者が直接これらの作業を行うことを可能にします。メンターからは、テーマに取り組んだときのアウトプット、2月の成果報告会までに実現可能な範囲などの質問が出ました。 地元の専門学校生で構成するチーム「Weed」が掲げたテーマは「ネットワークエンジニアへの近道 ~トラブルシューティングを用いて~」です。トラブルシューティングが知識や技術の習得に重要な役割を果たし、さらに、それが大きな達成感や満足感につながることを自らの経験で知った彼らは、それをいつでも体験できるシステムの構築を決意しました。中核となるSDN部分にはOpenFlowとMininetを用いるということです。これに対し、メンターからは、具体的なイメージが固まっていないようなので、ユーザ目線から見たシステムイメージを早い時期に決めたほうがよいこと、Mininetで実現できるトラブルは限られるため、システムで取り扱う具体的なトラブルシナリオを決めると先に進めやすくなること、などが指摘されました。 技術論と社会論にまたがるユニークなテーマ「クラウドAPIを用いた社会問題へのアプローチ」を掲げたのは、同じく地元の専門学校生チーム「Mckee」です。いま話題のポケモンGOを具体例に取り上げ、それが引き起こす事件や事故の原因は、急なポケモンの出現やポケストップへの殺到などにあるとの自らの分析に基づいて、これを防ぐ経路案内型アプリを開発したいと意気込みます。ポケストップの位置は、双子ゲームであるIngressのマップから取得したポータルの位置より推定し、他に、Google Maps API、機械学習などを用いて、目指す機能を実現するといいます。タイムリーなテーマ設定にメンター諸氏の反応はよく、ゲームに熱中して危険な行動を取るプレイヤーから逃れたい人向けアプリにしてはどうか、他の社会問題に応用できる視点を持つべき、といったアドバイスがなされました。 つぎに登壇した「ごま苺」は、琉球大学情報工学科でKVMベースのサーバ管理を行って感じる問題を出発点に、クラウドをより身近に、より便利に使えるようにすることを目指します。テーマ名は「クラウドをより身近に!!より便利に!!」です。彼らはまず、ユーザがブラウザでOSやサービスを選ぶだけで、仮想マシン(以下VM)の自動貸し出しや個別サービス(例:WordPressなど)の自動構築を行うシステムを作ろうとしています。またそれと合わせて、システム全体をDVD等から簡単にインストール・再構築できる仕組みを整え、定期的なハードウエア更改に備えるということです。メンターのコメントは既存の類似システムとの差別化に集中し、対象サービスが限定されるとしても手軽に利用できるならニーズはある、何か自分たち独自の特徴を持たせるべき、といった意見が寄せられました。 チームを組む相手が欠席した「SecLab」は1名での発表になりました。テーマは「情報流出を低減させるための検疫ネットワーク」です。巧妙な標的型攻撃が増加の一途をたどるなか、組織にとって情報流出の防止は極めて重要な課題です。その課題に向けて、このシステムは技術的な出口対策の1つを提供します。具体的には、クライアントの信頼度を評価し、信頼度のレベル毎にアクセスできる領域を変更することで、クライアントのアクセス制御をおこないます。信頼度の評価には、機械学習、ニューラルネットワークなどを、アクセス制御にはSDNを、それぞれ利用します。構想が広範であることから、メンターからは、何をやるか早期に決めて、ミニチュアでよいので観測-判断-アクションを一式行うような形で実装するとよい、といったアドバイスが贈られました。 「研究室ではSDNを研究しているが、自分のテーマ以外はあまり理解できていない。もっと幅広く学びたい」という向上心から参加したのは「なんとなくメガネ」チームです。彼らのテーマ「OpenFlowによるトラフィック制御」では、機器間のリンク故障に対して、OpenFlowで代替経路を設定し、その高度化(代替経路の事前計算、コストを考慮した動的再構成など)を図ります。本人たちもいうように、このテーマ自体はすでに目新しいものではありませんが、「自分たちの手で」「アジャイルに作る」という点に重きをおいて進めていくということです。利用技術は、Ubuntu、OpenFlow 1.3、Ryu、Open vSwitch、Mininetなどです。メンターからは、トポロジ取得やネットワーク断検出の方法は1つに限らない、アジャイルに作っていくのはよい方法だ、などのコメントが出ました。 異なる大学の院生による混成チーム「Stone Hill」のテーマには「Aさんの手間を極力減らすこと」とユニークなタイトルが付いています。その内容は、IoTデバイスから送られる大量のデータの共有が煩雑化することに注目し、SDNスイッチを用いてその効率化を図ろうとするものです。一般にIoTデバイスは多数が分散して設置されます。それらから発生する大量のデータを要求に応じて分配・共有するための管理を、個々に人手で行うことは現実的ではありません。彼らは、ネットワークにSDNスイッチを適用し、コントローラからフローエントリを投入、修正、削除することで、データの分配・共有の管理を行える仕組みの構築を目指します。要素技術には、OpenFlow、Ryu、Open vSwitchなどを用います。発表に対してメンターからは、この機能が有用な例をもっと具体的に提示したほうが理解を得やすいのではないか、との助言が与えられました。 テーマ表明のトリは「まんぼう」チームが務めました。テーマは「エッジコンピューティングを応用した分散型データベースシステム」です。このチームでは、エッジコンピューティング(ユーザの近くに小規模サーバを分散設置して、IoTデバイス等が低遅延でサーバにアクセスできるようにする技術)の概念を応用し、災害時の避難所などインターネット接続が不安定な場所でも、SNSや掲示板のスムーズな利用を可能にする機構の実現を目指します。キーとなる技術には、実装対象となるRaspberry Pieの管理、エッジサーバに用いるDB、更新用差分データの生成、エッジサーバへの更新プッシュなどが挙げられるということです。アドバイスをしたメンターは、類似の事例が過去にあるはずなので、それらをよく調査して、自分たちが作るもののアピールポイントを明確にするとよい、とエールを送りました。 ■OOLテストベッドハンズオン 全チームのテーマ表明を終え一息ついたら、続いて「OOLテストベッドハンズオン」がスタートしました。この頃になると、会場から張りつめた空気が消え、すこし固かった参加者に、若者らしい生き生きとした表情が見られるようになりました。 ここで取り上げるOOLテストベッドとは、アイディアの実証、機器の動作検証、ハンズオンといった、OOLの活動全般を支援することを目的とした、一群のコンピュータやネットワーク装置の集合体のことです。SDNとクラウド技術を中核に用い、物理コンピュータやネットワーク装置の時間単位での貸し出しや、それら機器同士のネットワーク接続を、すべてWeb画面から行えるよう作られています。これにより、研究所でひんぱんに発生するコンピュータ環境の構築や解放を、簡単な操作で、短時間に、離れた場所から、自動的に行うことができます。 この時間では、OOLテストベッドの機能や仕組みを解説した後、代表の2チームがVPN経由で実際にテストベッドを操作して、コンピュータやネットワーク機器の貸し出し、ネットワークの自動接続、サーバ動作環境の自動構築を体験します。このハンズオンの講師と進行は又吉が、操作指導は新里を筆頭に仲間と丸山が務めました。 実際にデモ操作を行う2チームは、希望チームが自ら手を挙げアピールして決まりました。指名やくじ引きは最小限にして、できる限り参加者の主体性を尊重する。これはスペシャリスト育成プログラム全般に見られる特色の1つです。 複数の希望チームが我こそはと手を挙げるなか、最終的にごま苺チームがサーバ1台の最小構成ネットワークのデモを、オープン北陸チームがサーバ2台とスイッチ1台を用いたネットワークのデモを、それぞれ受け持つことになりました。また2チームがテストベッドの操作をしている間、前方スクリーンでは、テストベッドの操作手順の紹介や、2チームが行っているテストベッド操作状況の確認などが行われます。 操作を担当する2チームのPCをVPNに接続して、テストベッドの操作が始まりました。両チームは操作指導に従って真剣に、ときおり驚きの表情も交えながら、テストベッドの操作を続けます。本当に期待どおりコンピュータの貸し出しと自動構成が行われるのか?会場全体が息をのんで見守るなか、14分を経過したころにごま苺チームの最小構成ネットワークが、またそれに遅れること2分で、オープン北陸チームの2台構成ネットワークが、それぞれ使用可能な状態に至りました。簡単な操作で、短時間に、離れた場所から、本当にコンピュータをセットアップできる。この様子を目の当たりにして、参加者は皆、興味深げな様子でした。 OOLテストベッドハンズオンが終わると、やっとお楽しみの夕食タイムです!

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