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第2回全体ミーティング(合宿!②)


■アイスブレイク #1 < マシュマロチャレンジ > 夕食を終えてミーティング会場「パシフィック」に戻ると、お互いの気持ちの壁が相当取り払われたこのタイミングにさらに親交を深めてもらおうということで、アイスブレイクの時間が設けられました。 まず冒頭で、当日まで秘密だったその詳細が発表されました。気になるアイスブレイクの第1弾は「チーム力を高める、マシュマロチャレンジ」です。TED Talksでも紹介されたこの知的ゲームは、参加者にも知っている者が多くいました。 取り立てて難しいゲームではありません。未調理のスパゲティ、テープ、ひも、はさみを使って自立式の構造物を作り、それにマシュマロを置いて、制限時間を経過した時点のマシュマロの高さを競うという、むしろアナログで単純なゲームです。ポイントは、マシュマロが案外重いということ。細く折れやすいスパゲティでそれを高い位置で支えるためには、いろいろな工夫が求められます。それをチームでどう取り組んでいくか。このあたりが勝敗のカギとなります。 ゲームを始めるに当たっては、これまでのチームをシャッフルして、プログラム参加者だけ、あるいは、メンターや事務局担当だけが集まり、計9チームが構成されました。準備が整ったら、ゲームスタートです。コーナーを取り仕切る丸山と山入端の合図で、各チームは一斉にスパゲティ構造物の立て方を検討し始めました。なお制限時間は18分に設定されました。 各チームの戦略は様々で、プログラム参加者が集まったあるチームはアジャイルなアプローチを採用し、また別のチームはまずモデルを作って強度を検討するアプローチを採用しました。また、ゲームにおける役割分担もチームによって異なり、全員がフラットに主テーマの検討に携わるチームもあれば、あるものはテープを準備して別のものは構造を検討するといった形で、明確な役割分担を採るチームも見られました。 皆が頭を悩ませ、わいわいと意見を出し合い、そして手を動かしていると18分はあっという間です。うまくいったチーム、そうでないチームと、はっきりした違いが現れるなか、ドキドキの計測が行われました。計測の結果、構造物の自立状態を維持できたのは8チームで、最高記録は小野寺氏、田部、仲間、工藤氏、佃で構成するチームの76cmでした。 ゲームの後に紹介されたビデオによれば、建築家やエンジニアは、マシュマロチャレンジでよい成績を残すグループだといいます。このゲームは、そんな人たちに試作の重要性を理解させ、また、適切な試作をするための、共通の体験、共通の言葉、共通の態度を築くのに役立つ、ということです。 ■アイスブレイク #2 < メンター所属企業における課題 > マシュマロチャレンジで大きく盛り上がった後は、メンターの1人である田部が、日ごろの業務で感じる悩みや課題を語りました。この時間は、参加者の中心である学生が、普段、実社会に触れる機会が少ないことを考慮し、通信事業者やメーカに勤めるエンジニアのリアルな声を聞いて、テーマ選定の一助にしてもらうことを目的としたものです。 田部がこの日の話題に取り上げたのは、NTTコミュニケーションズ株式会社において自ら取り組んだ2つのテーマと、その背景にある企業の課題の話でした。2つのテーマとは、「ネットワーク運用オペレーションの自動化」と「仮想ルータの検証自動化」です。 最初のテーマ「ネットワーク運用オペレーションの自動化」は、同社の技術開発部が構築・運用する社内検証網をターゲットにした自動化の話です。田町、大手町、幕張などの拠点を結び、ネットワーク、サーバ、セキュリティなどのリソースを、社内ユーザに提供するこのネットワークは、内部に複数のネットワークを内包し、また、マルチベンダの機器が投入されている大規模で複雑なものです。 この社内検証網に対し、社内ユーザからネットワーク、サーバ、セキュリティ等のオーダが来ると、事務局から各担当者に指示を出して必要な設定が行われます。しかし、それは手動で実施されるため、設定に時間がかかり、また、担当者のスキル差による設定内容のムラや、ヒューマンエラーが発生する恐れがありました。この状況はトラブル発生時の原因調査や修理についても同様で、各担当者がそれを人手で実施するため、原因調査や修理に時間を要してしまい、また、設定ムラやヒューマンエラーの混入が懸念されました。 このような問題を解決するため、田部らは、ソフトウエアから多数・多種類の機器を制御し、SDNを活用したアプローチでオペレーションを実施システムの開発を行いました。そのシステムでは、オペレーションとパラメータをGUIで入力すると、システムが必要な設定を考え、対象機器に自動設定するということです。 2つめのテーマ「仮想ルータの検証自動化」は、条件となるパラメータが多岐にわたる仮想ルータの検証を、自動化されたシステムにより網羅的に行おうとするものです。仮想ルータの検証を行う場合、検証対象ルータ、仮想化基盤、CPUコア数、メモリ量、NICの種類、対向ルータ、ルーティングプロトコル、パケットサイズなどのパラメータの値を変えながら、全ての組み合わせを網羅的に試験する必要があります。 これを人手で行おうとすると、多くの手間と長い時間がかかる上、作業が複雑になりヒューマンエラーのリスクが増加してしまいます。また検証者には、ルータ、仮想化基盤、クラウドOS、サーバOS、サーバハードウエア、ネットワーク、測定機など、幅広い分野にわたる高度なスキルが求められます。 これらの問題を解決し、検証者が検証結果の分析に注力できるよう、仮想ルータの検証を自動化するシステムが開発されました。そのシステムを利用すると、たとえば、人手なら数ヵ月かかるような、2736通りもの組み合わせがある試験を、たった40時間で終わらせることができるそうです。 この一連の話から分かるのは、いま通信事業者において自動化が大きな課題になっており、それに向けて様々な取り組みが行われている、ということです。このようなリアルな話を掘り下げていくこともまた、テーマ選定に向けたアイディアを見つけ出す1つの方法に違いありません。 ■チームディスカッション 2つのアイスブレイクで気分をリフレッシュした後、ミーティング1日め最後の「チームディスカッション」が始まりました。時計はもう20時30分を回っていますが、若い参加者の皆さんはまだまだ元気です。 冒頭でも記したように、このミーティングでは、まず各チームがテーマを表明し、それに対してメンターや他の参加者から意見やコメントをもらいます。続いて、その意見やコメントを参考にしながらチーム内での議論を重ね、ミーティング終了までに、最終的なテーマを決定して、そのためのプレゼン資料を作り、それを発表します。 この過程のうち、実際にチーム内で議論して資料を作ることのできる時間は、この日の1時間半と明日の2時間、合計3時間半しかありません。つまり、これから迅速に議論、検討、資料作成を進めなければ、明日の最終テーマ表明に間に合わないのです。 このように、迅速に何かを進めなければならないときは、マシュマロチャレンジでも語られていたように、ずっと考え込むのではなく、すこしずつでも手を動かしてみて、そこで見つけた課題をフィードバックしながら段階的によいものにしていく、というアプローチが有効です。各チームがそのことに気づいて、スジのよいテーマを、時間内にうまく選定できるでしょうか。 そんな心配をよそに、メンターを交えながらのチームメンバ同士の議論は、時間を追うごとに白熱していきました。会場のあちこちでは、ホワイトボードを使った具体的な検討や、他チームのメンターまで加わっての議論が始まっています。 この熱気は、結局、チームディスカッション時間の最後の最後まで続きました。22時が近づくと事務局から「この場での議論はここまで、延長戦は必要に応じて各チームの部屋で行うように」とアナウンスがあり、これを受けて参加者は会場を後にしました。おそらくこの後も、各チームは部屋に戻って長い議論を続けたことでしょう。第2回ミーティングの初日は、このように熱気を帯びたまま予定の日程を終えました。

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